聖書の人物

(48)

バプテスマのヨハネ(マタイ福音書より)

『そのころ、洗礼者ヨハネが現れて、ユダヤの荒れ野で宣べ伝え、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言った。これは預言者イザヤによってこう言われている人である。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ。』」』(マタイ3・1〜3)

イエスとまったく同時代、ユダヤに現れた偉大な預言者・・それがバプテスマのヨハネと呼ばれる人である。ルカの伝承によれば、彼は祭司ザカリヤとその妻イリサベトの間の子であり、イエスとは親せき関係にあったとされている(ルカ1・36)。ヨハネは長じて荒野に住み、きびしい禁欲的生活をいとなみながら、いにしえの大預言者エリヤのような力強さをもって人々に神の国の接近と悔い改めを説き、ヨルダン川で彼らに洗礼(バプテスマ)を施す独特な宣教活動を行った。これが彼の名称の由来である。

このヨハネ、および彼に代表される当時のユダヤの革新的宗教運動とイエスがヨハネから受洗したこと(マルコ1・9他)や、イエスの最初の宣教の言葉、「悔い改めよ天の国は近づいた」(マタイ4.17)は、イエスが青年期においてヨハネの影響と感化を強く受けていたことを物語る。イエスはまた彼を、「預言者以上の者」であり、「女の産んだ者の中で、彼より大きい人物はいない」と絶賛している。どんなに独創的で偉大な天才も、その人が世に出るための道筋となるもうひとりの、偉大な先達なしには出現しないが、イエスにとってバプテスマのヨハネは、そのような“道筋”であった。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、エル・グレコ作「キリストの洗礼」です。トレドのタベラ修道院にあります。

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