聖書の人物

(36)エゼキエル(エゼキエル書より)

『「お前たちは人間であり、わたしはお前たちの神である」と主なる神は言われる。』(エゼキエル書34・31)

エレミヤと同時代、捕囚の地バビロニアで預言活動をしたエゼキエルは、パレスチナ以外の地で活躍した最初の預言者である。彼は祭司の出で、エレミヤが劇的な生涯を送ったことに比べれば、比較的穏やかな生き方をした。

国が滅ぼされ、異国における捕囚生活をしていたとき、人々の主に対する信仰は非常に動揺した。加えて彼らは多くの異教的習慣にとりまかれ、異教に転向する者が続出する有様となった。こうした民族の崩壊と信仰的危機に直面して主の召命を受け、立ち上がって預言したのがエゼキエルである。彼はイスラエルの伝統的律法の原理や祭儀を尊重するとともに、さまざまな象徴的言葉によって、唯一の主に対する悔い改めと信仰を強調した。34章に記された牧者と羊のたとえは、ヨハネ福音書10章における「われは善き羊飼なり」というイエスの言葉と深く関連していて味わい深い。

わざわいなるかな、自分自身を養うイスラエルの牧者(たち)。牧者は群れを養うべき者ではないか。ところが、あなたがたは脂肪を食べ、毛織物をまとい、肥えたものをほふるが、群れを養わない。・・・・・わが羊は散らされている。・・・・わが群れは地の全面に散らされているが、これを捜す者もなく、たずねる者もない。・・・・それゆえ・・・・主なる神はこう言われる、見よ、わたしは、わたしみずからわが羊をたずねて、これを捜し出す。・・・・わたしは良き牧場で彼らを養う。・・・・わたしはみずからわが羊を飼い、これを伏させると主なる神は言われる。わたしは、うせたものをたずね、迷い出たものを引き返し、傷ついたものを包み、弱ったものを強くし、肥えたものと強いものとは、これを監督する。わたしは公平をもって彼らを養う。・・・・わたしは彼らの上にひとりの牧者を立てる。すなわち、わがしもべダビデである。彼は彼らを養う。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。・・・・あなたがたはわが羊、わが牧場の羊である・・・・(34章より抜粋)(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、紀元11世紀の、ファルツ侯の聖書の挿絵に描かれた預言者エゼキエルです。

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