- 『主の言葉がアミタイの子ヨナに臨んだ。「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪はわたしの前に届いている。」しかしヨナは主から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッファに下ると、折よくタルシシュ行きの船が見つかったので、船賃を払って乗り込み、人々に紛れ込んで主から逃れようと、タルシシュに向かった。』(ヨナ書1・1〜3)
- 預言者ヨナは異邦の町ニネベ(古代アッシリアの首都)に行って説教せよとの神の命を受けるが、それをいやがり、南スペインの、当時世界の西の果てと考えられていたタルシシュ行きの船に乗る。途中で船は大嵐にあい、それを静めるためにヨナは海中に投げこまれる。彼は大魚に飲み込まれ三日三晩その腹中で過ごす。彼の祈りにこたえて神は彼を魚から吐き出させ、ヨナは心を入れかえニネベに行って主の言葉を説教する。町中の人びとはそれを聞いて悔い改め、王もまたそれにならったので町が滅びなかった、という。
- この物語においてもイスラエル中心主義が批判され、神の救いは、むしろ悔い改める謙虚な異邦人に及ぶことが主張されている。アミタイの子ヨナは前八世紀に存在した預言者であるが(列王記下14・25)、ヨナ書は彼に関する民間伝説を用いて前四世紀以降に書かれた教訓的物語であると言われる。そのころ、ユダヤ人たちはしだいに偏狭になり、排他主義的な傾向が強まっていた。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)
- この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、ヨナがニネベでの伝道のあとで、町の東の方で神様に反発して座り込んだ時、大きなとうごまの木が生えて、日よけになった場面です。このあと直ぐにこれが枯れたのでそれを惜しんでいるヨナに、神様は異邦人が滅びることを神様も惜しむから、ニネベの人々を助けたことを告げます。ヨナ書4章を読んでください。
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