聖書の人物

(28)シェバの女王(列王記上より)

『シェバの女王は主の御名によるソロモンの名声を聞き、難問をもって彼を試そうとしてやって来た。彼女は極めて大勢の随員を伴い、香料、非常に多くの金、宝石をらくだに積んでエルサレムに来た。ソロモンのところに来ると、彼女はあらかじめ考えておいたすべての質問を浴びせたが、ソロモンはそのすべてに解答を与えた。王に分からない事、答えられない事は何一つなかった。シェバの女王は、ソロモンの知恵と彼の建てた宮殿を目の当たりにし、また食卓の料理、居並ぶ彼の家臣、丁重にもてなす給仕たちとその装い、献酌官、それに王が主の神殿でささげる焼き尽くす献げ物を見て、息も止まるような思いであった。』(列王記上10・1〜5)

知恵と富と名声を一手にしたソロモン王朝の繁栄ぶりを伝える有名な物語。シェバは今日のサウジアラビアの中心部の地域に対する名称であるが、前1000年〜700年ごろはシェバの権力が最も広く及び、黄金、宝石、香料等の交易によって著しく富んでいた。ソロモン王何するものぞと、らくだの隊を連ねてエルサレムに来訪した女王は、逆に圧倒されてしまうが、彼女の名は知られていない。ただしコーランによれば、その名はビルキスで、首都はマリブであった。また当時そこでは、婦人が社会的に高い地位を持ち、政治、文化、宗教、軍事の面で、男性と同様の実権を保っていたとも言われる。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、シェバの女王がソロモン王に会っている場面です。

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