- 『サウルは言った。「少年よ、お前は誰の息子か。」「王様の僕、ベツレヘムのエッサイの息子です」とダビデは答えた。ダビデがサウルと話し終えたとき、ヨナタンは自分自身のようにダビデを愛した。』(サムエル記上17・58〜18・1)
- サウルの長男ヨナタンは、王子として、人格、力量ともに父の後を嗣ぐべき器であったが、ダビデがペリシテの巨人ゴリアトを倒して以来、深い友愛と敬意をダビデにそそぐようになった。彼は、ダビデを憎む父を熱涙をもっていさめ、サウルの激情によってダビデにおそいかかるたびたびの危険を、身をもってかばい、回避させる。しかしサウルとダビデの関係はもはや決定的な状況に達していた。サムエル記上20章に「ふたりたがいに接吻してたがいに哭(な)く」としるされた、ヨナタンとダビデの悲しい訣別の物語は、もつれ合う悲劇的な人間関係のさなかにおける最も感動的な記録のひとつであり、万人の胸を打つ。内村鑑三は、札幌農学校時代、宮部金吾、新渡戸稲造と共に、いわゆる「札幌三人組」の仲間となり、信仰の交わりを深めたが、自分の洗礼名には友愛の人ヨナタンを選んでいる。
- ヨナタンは、ペリシテ人との激戦に父に従って出陣し、ギルボアの山で弟二人と共に父の後を追い、討死して果てた。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)
- この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、ヨナタンが矢を放って、ダビデに合図をおくっているところです。
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