聖書の人物

(22)サウル(サムエル記上より)

『彼には名をサウルという息子があった。美しい若者で、彼の美しさに及ぶ者はイスラエルにはだれもいなかった。民のだれよりも肩から上の分だけ背が高かった。』(サムエル記上9・2)

容貌うるわしく背の高い好青年であったサウルは、預言者サムエルに選ばれてイスラエル初代の王となった。彼は勇士であり、多くの外敵と戦って勝利し、王国の基礎を堅くしたが、その性格上、喜怒哀楽の変化が激しく、王としての雅量に欠けていた。特に、忠実な部下であったダビデの立てた軍功やその名声に対する嫉妬から、彼の命をねらうようになる。彼は神のいましめにそむく行為を重ね、サムエルからもやがて見放されてしまった。サウルは、イスラエルの歴史の重要な時期に大きな使命をおびて現われた人物であったが、その後半の生は悲劇的であり、最後にはペリシテ人との戦いに手痛い敗北を喫し、ギルボア山で自害して果てた。彼の壮烈な死の知らせを受けたとき、ダビデは万感胸に迫る思いで哀悼の歌をうたったが、それは「弓の歌」として広く知られている。

イスラエルよ、あなたの栄光は、あなたの高き所で殺された。ああ、勇士たちは、ついに倒れた。・・・・・・・・・・ギルボアの山よ、露はおまえの上におりるな。死の野よ、雨もおまえの上に降りるな。その所に勇士たちの盾は油を塗らずに捨てられた。・・・・・・・・ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器はうせた。(サムエル記下1・19以下)(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、サムエルが、サウルに油を注いでイスラエルの王に聖別しているところです。

【聖書の人物】過去のデータ
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