聖書の人物

(15)バラム(民数記より)

『バラムはこの託宣を述べた。バラクはアラムからモアブの王は東の山からわたしを連れて来た。「来て、わたしのためにヤコブを呪え。来て、イスラエルをののしれ。」神が呪いをかけぬものにどうしてわたしが呪いをかけられよう。主がののしらぬものをどうしてわたしがののしれよう。』(民数記23・7〜8)

イスラエルの民が約束の地カナンに入る以前、モアブの王バラクはイスラエルに恐れを抱き、異邦のうらない師バラムを招いてこれを呪わせようとした。バラムは最初それを断わるが、王の提供した金品に目がくらんで出かけて行く。その途中、彼の乗っていたろばが彼に話しかけてそのあやまちをいましめたという話は有名である(民数記22・2以下)。ろばにさとされておのれの愚をさとったバラムは、バラク王の所へ行き、山の上に立つ。そこで王は、彼にイスラエルの民の宿営を眺めさせ、彼らを呪うように言うが、バラムは「神が呪いをかけぬものにどうしてわたしが呪いをかけられよう。主がののしらぬものをどうしてわたしがののしれよう」と言い、4回にわたって彼らを祝福した。

異邦のうらない師にすぎないバラムが、まるで預言者のような発言をすることは、不自然な感じがするが、聖書におけるバラム伝承は混乱しており、彼は後には、イスラエルに災いをもたらす者となり、殺されてしまう。神に対して中途半端な態度でいる者は、たとえ時には立派なことを語る場合があっても、結局は滅びるのだ、ということがこのバラム物語の教訓であろうか。「わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない」(マタイ福音書7・21)。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、テリエンの聖書物語に描かれた、バラムが主の御使いに行く手を妨げられたところです。この時バラムが、乗っていたろばを杖で打ったので、急にろばが話し出したのです。聖書を開いて読んでみて下さい。

【聖書の人物】過去のデータ
(1)アダム
(2)エバ
(3)カインとアベル
(4)ノア
(5)アブラハム
(6)サラ
(7)ロトの妻
(8)イサクとリベカ
(9)エサウとヤコブ
(10)ヤコブとラケル
(11)ヨセフとその兄たち
(12)ファラオの娘
(13)モーセ
(14)アロン

熊本聖三一教会