聖書の人物

(8)イサクとリベカ(創世記より)

『イサクは夕方暗くなるころ、野原を散策していた。目を上げて眺めると、らくだがやって来るのが見えた。リベカも目を上げて眺め、イサクを見た。リベカはらくだから下り、「野原を歩いて、わたしたちを迎えに来るあの人は誰ですか」と僕に尋ねた。「あの方がわたしの主人です」と僕が答えると、リベカはベールを取り出してかぶった。』(創世記24・63〜65)

アブラハムはすっかり年老いたが、そのひとり子イサクはなお独身であった。老人夫婦の子でどちらかと言えば穏和にすぎたイサクに、「ふさわしい伴侶」を与えるため、アブラハムは信頼するしもべを遠く自分の郷里につかわし、そこでイサクの嫁となるべき娘を探し出すように命じる。しもべは命に従ってw旅をし、ナホルの町外れの井戸のそばで、美しく心優しいおとめリベカに出会い、彼女こそイサクの嫁御となるのにふさわしい女性であると確信した。リベカもまたしもべの願いにこたえ、一度も会ったことのないイサクの許に嫁ごうと言う。

しぶる家族たちを説得して彼女をらくだに乗せ、イサクの所へ連れ戻ったとき、イサクはしもべの帰りを待ちわびていた。ここに描かれているイサクとリベカの初の出会いのシーンは美しく、ほほえましい。イサクは「目を上げて」らくだの一行を見、リベカは「目を上げて」イサクを見た。あの男こそ自分の夫となる人だと知ったとき、「リベカはベールを取り出してかぶった」。イサクは彼女を妻とし、彼女を生涯かわらず愛した。旧約聖書の中の最も印象的で見事な描写による、若い男女の出会いの物語の一つ。(佐伯晴郎著「聖書の人々」より)

この絵は、サラの時にも使った、テリエンの聖書物語に描かれた、この出会いの場面です。

【聖書の人物】過去のデータ
(1)アダム
(2)エバ
(3)カインとアベル
(4)ノア
(5)アブラハム
(6)サラ
(7)ロトの妻

熊本聖三一教会